「自分は正しい」と思ったときに、立ち止まってみる

私たちは毎日の生活の中で、「自分は間違っていない」「自分の考えが正しい」と思うことがあります。

仕事でも、人間関係でも、家庭の中でも、自分なりの理由や経験があって、その判断をしていることでしょう。

でも、ふと立ち止まって考えてみると、自分が正しいと思っていることが、いつも本当に正しいとは限りません。

天理教には、そんな私たちに大切なことを教えてくれる「天の定規」というお話があります。


「天の定規」という教え

『教祖伝逸話篇』31「天の定規」に、次のようなお話があります。

あるとき教祖は、飯降伊蔵さんに木を切って、真っすぐな柱を作るように言われました。

伊蔵さんは、できるだけ真っすぐになるように木を削りました。

ところが、完成した柱を定規に当ててみると、わずかな隙間ができました。

そのとき教祖は、

「世間で誰もが真っすぐだと思っているものでも、天の定規に当ててみれば、狂いがあるものや」

という意味のお言葉を伝えられました。

人間の目には「真っすぐ」に見えていても、正確な定規に当ててみると、少し曲がっている。

これは、私たちの生き方にも通じる話ではないでしょうか。


私たちは「自分の定規」で測っている

人は誰でも、自分なりの「定規」を持っています。

これまでの経験、育ってきた環境、価値観、周りの人から教えられたこと。

そうしたものを基準にして、

「これは正しい」

「これは間違っている」

と判断しています。

例えば、誰かに嫌なことをされたとき、

「相手が悪いのだから、自分が怒るのは当然だ」

と思うことがあります。

もちろん、本当に相手に問題がある場合もあります。

しかし、自分の側には何もなかったのか。

言葉が足りなかったのではないか。

相手の立場を考えることはできなかったのか。

少し視点を変えてみると、今まで見えなかったものが見えてくることがあります。

だからこそ、「自分は正しい」と思ったときに、ほんの少し立ち止まってみることが大切なのだと思います。


「神様の目から見たらどうだろう?」

天の定規

天理教でいう「天の定規」は、人間の考えだけを基準にするのではなく、神様の教えに照らして、自分の心や生き方を振り返ることだと考えることができます。

「自分は正しいと思っているけれど、神様の目から見たらどうだろう?」

そう問いかけてみるのです。

すると、

「少し自分勝手だったかもしれない」

「相手の気持ちを考えていなかったかもしれない」

「自分の思い通りにしようとしていたかもしれない」

と気づくことがあります。

この「気づき」が、とても大切なのではないでしょうか。


運命を変える前に、心の向きを変える

天理教では、人それぞれに「いんねん」があり、それは心の使い方とも深く関わっていると教えられています。

だから、人生を変えたいと思ったとき、まず自分の心の使い方を見つめ直してみる。

人を責める心から、相手を思いやる心へ。

自分だけを優先する心から、周りの人を助ける心へ。

「してもらう」ことばかり考える心から、「自分にできることは何だろう」と考える心へ。

そうやって心の向きを少しずつ変えていくことが、これからの生き方にもつながっていくのだと思います。


「天の定規」は自分を責めるためではない

「自分の考えは間違っているかもしれない」と考えると、自分を否定したくなる人もいるかもしれません。

でも、「天の定規」は自分を責めるためのものではありません。

木の柱も、定規に当てて初めて「少しずれている」と分かりました。

分かったからこそ、直すことができます。

私たちの心も同じです。

「自分は正しい」と思い込んでいると、自分の心のずれには気づきにくいものです。

だからこそ、ときどき「天の定規」に自分を当ててみる。

「今の自分の心は、神様の思いに沿っているだろうか?」

そう振り返ることが、より良い生き方への一歩になるのではないでしょうか。


今日、少しだけ立ち止まってみる

誰でも、自分のことを完全に客観的に見ることはできません。

だから、「自分は正しい」と思ったときほど、少しだけ立ち止まってみる。

「本当にこれでいいのかな?」

「相手の立場から見たら、どうだろう?」

「神様の目から見たら、どうだろう?」

その問いかけが、自分では気づかなかった心の「ずれ」を教えてくれるかもしれません。

自分の定規だけで測るのではなく、ときには「天の定規」に照らしてみる。

そこから、心の向きを少しずつ整えていくことが、より明るく、より人と支え合って生きる道につながっていくのではないでしょうか。

会長プロフィール

担当者の永島です。担当者の永島です。
言葉にならない思いを抱えたまま、ここまで読んでくださりありがとうございます。
すぐに答えが出なくても大丈夫です。
もし、誰かに少し話してみようと思えた時は、静かにお話をお聴きします。