生きていること、それだけで幸せ ― 命の尊さに気づく暮らし ―
私たちは、毎日を当たり前のように過ごしています。
朝、目が覚めること。自分の足で歩けること。ご飯を食べられること。家族や友人と話ができること。
普段は特別なことだと思わずに過ごしているかもしれません。
けれど、ふと立ち止まって考えてみると、今日も命があり、生きていられるということは、決して当たり前ではありません。
命の尊さは、どれだけ考えても計り知れないものです。
それなのに、私たちは忙しさや悩みの中で、その大切さを忘れてしまうことがあります。
もっとお金があれば。もっと認められれば。自分の思いどおりになれば。
そんなふうに、今、自分が持っているものよりも、まだ手に入れていないものに心を向けてしまいます。
もちろん、より良い生活を求めることは悪いことではありません。
ただ、その一方で、今ここにある命の尊さを忘れずにいたいと思うのです。

生きていることの喜びを感じる
もし、朝起きたときに「今日も生きている」と心から感じられたら。
おいしく食事ができたときに、「食べられるって幸せだな」と思えたら。
大切な人と何気ない会話を交わしたときに、「こうして一緒に過ごせることはありがたいな」と感じられたら。
いつもの景色も、いつもの暮らしも、少し違って見えてくるのではないでしょうか。
幸せというと、何か特別な出来事や、大きな成功を思い浮かべる人もいるかもしれません。
けれど、幸せのすべてが、何かを手に入れたときに訪れるわけではありません。
自分が今、生きていること。その喜びを心から味わうこと。そこにも、かけがえのない幸せがあるのだと思います。
生きていることを嬉しいと感じ、その喜びが心の底から湧き上がってくる。
そんな瞬間が増えていけば、私たちの心は、今よりもずっと豊かになるのではないでしょうか。
天理教に教えられる「生かされている喜び」
天理教には、人間の身体は親神様からお借りしている「かしもの・かりもの」である、という教えがあります。
自分の身体は自分だけの力で自由につくり、動かしているものではありません。
心臓が動き、呼吸ができ、食べたものが身体の力になり、自然の恵みによって日々の生活が支えられています。
普段は意識することの少ない働きの一つひとつが、私たちの命を支えてくれています。
そう考えると、生きているということは、自分一人の力だけで成り立っているのではないと気づかされます。
太陽の光や雨、大地の恵み、空気、そして周りの人たちとのつながり。
さまざまな働きに支えられながら、私たちは今日という日を生きています。
天理教では、そうした命の働きを親神様のお恵みとして受け止め、感謝する心を大切にしています。
「生きていてよかった」
「今日も一日を過ごすことができた」
その喜びに、親神様への感謝の気持ちが加わると、普段の何気ない暮らしの中にも、ありがたさを感じられるようになるのではないでしょうか。

命の喜びが、人を思いやる心につながる
自分が生きていることを幸せだと感じられるようになると、周りの人の命や存在も、自然と大切に思えるようになるのではないでしょうか。
自分の命がかけがえのないものであるように、目の前にいる人の命も、同じようにかけがえのないものです。
年齢や立場、考え方が違っていても、一人ひとりに大切な命があります。
だからこそ、相手を傷つける言葉を少し控えてみる。困っている人がいたら、できる範囲で手を差し伸べてみる。身近な人に、感謝の気持ちを伝えてみる。
そんな小さな行いも、命を大切にする生き方の一つだと思います。
誰もが自分の命を喜び、周りの人の命も大切にできるようになれば、人と人との関係も少しずつ温かくなっていくでしょう。
そして、誰もが生きていることの幸せを感じられる世の中になってほしい。
それが、今、私自身が強く願っていることです。
今日、生きている喜びを感じてみる
毎日の暮らしには、思いどおりにならないこともあります。
悩みや不安を抱え、前向きな気持ちになれない日もあるでしょう。
だからといって、いつも幸せを感じていなければならない、ということではありません。
ただ、そんな日々の中でも、ときには立ち止まって、自分の命に目を向けてみたいと思います。
今日も目が覚めたこと。
誰かと話ができたこと。
温かい食事をいただけたこと。
空を見上げ、季節の移り変わりを感じられたこと。
そうした何気ない一つひとつに、命があるからこその喜びがあります。
生きていることは、決して当たり前ではない。だからこそ、今ある命を喜び、感謝しながら歩んでいきたい。
自分の命を大切にし、周りの人の命も大切にする。そして、自然の恵みや、命を支えてくださる親神様のお働きにも感謝する。
そんな心を一人ひとりが持つことができたなら、私たちの暮らしは、もっと温かく、喜びに満ちたものになっていくのではないでしょうか。
生まれてきたこと。今、生きていること。
その喜びを、心の底から味わえる日々を大切にしていきたいと思います。

